リテラシーラボラトリ

リテラシーを考える

「効率化」の過程で気をつけたい「効率病」の話

前回の「効率化」について記事を多くの人に読んでいただき、色んな反応をいただいた。

その中の一つに「効率病」ということに言及されている方があった。そして以下の記事を紹介いただいた。

僕が陥っていた”病気”をものの見事に指摘してくれていて、心にストンと落ちた。そう、「効率病」だったんだなーと。

「効率病」とは

先ほどの記事で「効率病」を以下のように定義している。

効率病とは、「効率を求めるせいで何も行動できない」という病気です。(中略)効率を追求している割には何も成果がない、自己啓発書を必要以上に読んでいる、将来への危機感があり焦って対策を練る割には遊んでばかりいる人は、あるいはこの病気の被害者かもしれません。

何というか、アイタタターという感じだ。まさに自分のことだと。ちょっと前までドツボにハマってた。今は強く自覚しているので、少しはマシになっていると思うが、、

いかにして効率を高め、生産性をあげるかというテーマのもと、方法論を本やネットに求める。そして最新のツールから昔ながらの成功理論まで、試しては止め、使っては捨てを繰り返す。いずれか完成形にたどりつけばよいが、その目処もなくキリもきわもなく繰り返される。

結果生産性が上がってればいいが、「悩み」の時間が多く、行動量がないため、成果には結びついていない。ある種、悲劇とも言える病気だ。



しかしこの効率病は、誰でも効率化を突き詰めていくと必ず表れる病気だ。何とか短期間で成果をあげたいと思うひとほどぶつかる問題だ。

「効率病」への処方箋

では、その「効率病」にどう対処するか。答えは非常にシンプルだ。

行動である。それしかないし、それ以外ありえない。

「いやいや、そういうのを求めてるんじゃないんだよ」と言われそうだが、むしろこれ以外に何があるってんだ。どんな便利なツールだろうと、素晴らしい理論を並べようが、行動しなければ成果は出ない。当たり前の話だ。

悩まず行動すること。そうしていきながら、最適化していく。行動せずに考えていても、所詮それは机上の空論にすぎない。目の前のことを愚直にこなしていくことが、大事だったりする。そしてその中で効率法を見出していくのが重要だ。

それでも悩んでしまう人は、以下のことを強く意識すべきだ。

  • 「悩む」のではなく、「考える」

よく言われる話ではあるが、効率化において「悩む」ことほど無駄なことはない。「悩む」ことと「考える」ことの最大の違いは、そこに終わりはあるかどうか、ということだ。「ああすべきか、こうすべきか」と方法論について、えんえんと思いを巡らし続けているのは、「考える」とは言わない。悩んでいるのであり、迷っているのだ。「考え」には行動が伴い、「迷い」には行動は伴っていない。

最初に紹介した記事にも書かれている。

どこかで、効率の良さを求める段階から、実際に行動する段階へシフトする必要があります。愚直に思えるようなものを、ただひたすらやる必要がある。少しやってみて「思ってたより良くない」とか感じるのは大切なことです。そして考え直すこともまた重要です。でも「これは効率が悪い方法だ。もっと良い方法があるはずだ」ということをいつまでも続けたら、どうしようもないわけですよ。

行動の前に考える行為が必須だとして、それを「悩み」にしないためにはどうすべきか。それは「時間制限を設ける」ことがいいだろう。1時間ほどかかる作業があった時に、内容にも依るとは言え、方法について20分も思考しているのは無駄だ。5分、長くとも10分くらいに留めたい。

「じゃあ、どう考えんだ」とこれまた言われそうだが、そんなの千差万別だ。人によっても、状況によっても全く異なってくる。絶対解はない。それがあると思ってるから、悩むのだ。

10分考えても分からなければ、「人に聞く」という行動をしよう。取り組もうとしていることについて、おそらく一番効率よくデキる人は、上司や先輩以外にはない。ビジネス本のベストセラー作家ではないのだ。彼らに聞いて方法論を請うのが一番いいだろう。

もちろん”ただ”で聞くのは厳禁だ。5,10分なりで考えた、自分なりの方法を話した上で、アドバイスを請おう。何も考えずに「で、どうすればいいスかね?」というのは相手の時間を奪っているアホでしかない。それくらいは考えよう。

まとめ:効率化の幻想から目を覚ますことが第一歩

書店でビジネス本コーナーに行くと、方法論を語る成功者の本が本当に多く並ぶ。そして、そういったものがベストセラーになっている、という現状がある。これがある種「効率病」の患者の多さを物語っている気がする。

もちろん使い方を誤らなければ有効なものだが、扱い方を間違えれば「悩みの肥やし」にしかならない。悩みを解決しようと、更なる本やネットの情報を求めていってもその先には空虚さしか残らない。

仕事がデキる成功者に近づこうと必死なわけだが、彼らの方法論はあくまで彼らの方法論である。彼らが成功したからといって、僕が同じことをやって成功できるという保証は何もない。自分に最適な方法というのは、自分が行動して、発見して、修正して、積み上げていくものだ。

万人にとって最強のツールも最高のライフハックはない。そんなものあると思ってるから、悩む。ないと分かれば、悩むのもバカらしくなる。とりあえず動こうとなる。

人生に裏ワザはない。着実に目の前のことを着実にやっていこう。それが一番の効率化の道だ。脇目をふらず、前を向こう。

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