リテラシーラボラトリ

リテラシーを考える

ほとんどの新人がつまづく、報連相の手段の選択について

今もそうだけど、振り返って考えると、コミュニケーションが一番難しかった。

ここでいうコミュニケーションというのは、別に飲み会での盛り上げとか、上司の持ち上げ方とかそういう話じゃない。それもあるけど、もっと仕事に本質的なものだ。

「報連相」である。

どんな仕事であれ、報連相は基本中の基本だ。報告・連絡・相談がきちんとできていると、仕事は非常にスムーズだ。問題は基本的に発生しない。効率化のベースとなる。報連相しないさせない、なんて言ってるところもあるが、形が特殊なだけで、してはいる。

上手くいかない原因というのは色々な記事で語られている。報告の具体的な仕方や組織構造といったものが多い。

しかし、新人においてはもっと初歩的なところでつまづいているものだ。その手段の選択である。

重要スキルとしての伝える方法の選択

言い換えれば”何で”するかだ。つまり、直接口頭でなのか、メールでなのか、グループウェアでなのかを選ぶことだ。

もちろん手段が限定されていて、悩む必要がない状況もある。例えば超少人数でPCを使わず、口頭ですべて済ませられる、などだ。

しかし、今の世の中、そういった環境は少ない。使うべきツールは増え、しかも仕事も複雑になっている。口頭ですべてが解決できることはもうほとんどないだろう。

「何を使って、報連相するか」が生産性高く、かつ効率よく物事を進める大きなカギとなっている。それが今の社会人に求められていることの一つだ。人気ブロガーも言っている。


伝え方の生産性を高くするための第一歩は、伝える方法の選択なのに、これを意識して選んでない人が多すぎます。

(中略)「今、このメッセージはどれで伝えるべきか」を正しく選べているかどうかで、伝え方の生産性の半分(以上?)が決まります。

便利になった世の中、ものを伝える手段というのは実に多い。パッとあげただけでも、以下のものがある。企業によってここは異なるところだろうが、何にしろ複数ある。

  • 直接声をかける
  • 電話
  • メール
  • テレビ電話(ポリコムなど)
  • グループウェア
  • インスタントメッセージ(Skypeなど)
  • チャット(IRCなど)
  • メモを置く

「ここから何を選べば、一番有効なのか」これは新しく入った人にとっては、非常に難しいことだ。これがコミュニケーションハードルを高め、ミスを増やし、全体の効率を下げていることにつながっている。

「何で質問すればいいのか」で迷わせるほど、ロスはない

話をより単純にするため、報連相を質問と置き換える。分からないだらけの人間は報告よりも質問をしないと始まらない。

何かしらの指示を受け、作業していても、途中分かないことが起きて、手が止まる。

「分からない」⇒「質問したい」

ここまではよいが、

「分からない」⇒「質問したい」
⇒「どうやって質問するのがいいか」⇒「分からない」

と、なる。そうなると

「どうやって質問するのがいいか」⇒「分からない」
⇒(悩み中)⇒「何もかも分からない」⇒分からず実行⇒「分からない」

と知らず知らずのうち、時間だけ流れていく。時間だけならまだいいが、とんでもない事態になっていることさえある。

こんなことで悩ませることは時間の無駄だ。それより早く作業をしてもらうべき。ましてやこちらが想定していないものを出されて、それを修正する手間は何より惜しい。

作業で分からないことがあるのは仕方がないことだ。もちろん自分で考えず、何でもかんでも質問するのは論外だが、それでも質問すべき時は必ずある。その時にスムーズに質問”させられるか”が、新人教育において大事なことなのではと思う。

コミュニケーションハードルを下げてあげることが大事

ではどうすべきか。それは「こういう時はこれで連絡して」と頻繁に伝えてあげることがいい。

空気読まないヤツは別だが、空気を読みすぎて、何も報連相しない人がいる。

「今、忙しそうだから、声かけない方がいいだろうな…」

まあ、そうなのかもしれないが、声をかけずに大失敗されるくらいなら声をかけるべきなのは言うまでもない。こういう人には

「作業中は集中しているから、Skypeで送っておいて。反応ないかもしれないけど、後で必ずみるから。もし緊急だったら、直接口頭で声をかけていいよ」

と言ってあげよう。(あくまで例だが)

人によってはSkypeでピコンピコンと通知がくるのは嫌だという人もあるだろうから、メールにしてくれーとかはあるだろう。何にしろ報連相の手段というのを明示してあげると、新人としては楽だ。主に気持ちが。

何でそこまでしなきゃならんのだ、自分で考えろと思うのは、今の新人には通用しない。空気を読めて適切に伝えられる人は稀少だ。すべての新人がそうだと思ってはならない。丁寧すぎるくらいでちょうどいい。

まとめ:最初は適切な手段を提示してあげよう

ハッキリいって、問題としては大変初歩的なことだ。けれど、ここでつまづいてることが多い。この点は思っている以上に深刻に考えてあげることをすすめたい。

上記の例は簡単だが、状況が複雑になれば選ぶ選択手段はTPOによって大きく変わる。Skypeで複雑なことを伝えるよりも、社内グループウェアでまとめて伝えるのがいい時もあるだろう。あるいは、そんなことやってないで、すぐに口頭で状況伝えるのが速いときもあるだろう。

しかも自分にも相手にも手段の好みがある。これらのことを加味して、適切な手段を選ぶのは非常に重要であるとともに、大変高度なことだ。これを新人が一朝一夕で分かったら、そいつは天才だ。何も心配はいらない。すぐにあなたを追い越していくだろう。

しかしそんな人は雨夜の星。いないと考えていいい。多くの悩む新人たちには、こちらが近づき、分かりやすく、そして何度も手段を提示してあげよう。まずはそこから入ってもらい、仕事を身につけてもらってから、より高度な問題に入ってもらおう。

とりあえずは「今日これをやろうと思いますが」の相談と、「今日これやりました」の報告の手段を決めてあげることから始めたい。

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