ヒューマンビートボックスという、何も無いところから生まれる芸術について
首都高の轟音に紛れて、口で音を鳴らし、ビートを刻む。そんなことを前からずっとしてきた。そう、ヒューマンビートボックスである。
ヒューマンビートボックスとは
「ヒューマンビートボックス」という言葉を知っている人は、そこまで多くはない。ただ「ボイスパーカッション」だったら知ってるという人はたくさんいる。そして、そのきっかけはハモネプという人は多いだろう。
なかでも現ラグフェアーの「おっくん」はすごかった。あれを見て、かっこいいと思わない人はいないんじゃないだろうか。僕もそれを見て、自然と始めたクチである。
とまあ、そんな具合に「ボイパ」を知っているが、「ヒューマンビートボックス」との違いや関係はあまり知られていない。
日本だとハモネプの影響でボイパは有名なので、その下にあるのがヒューマンビートボックスと思われているところもあるが、実はその逆である。ヒューマンビートボックスの一種が、ボイスパーカッションなのだ。
ヒューマンビートボックスとは、「人間の口一つで音を鳴らし、リズムを刻む」行為である。ドラム音やベース音、ギターやトランペットなんかもそう。そして、その内打楽器の音でアカペラのリズムをつくっているパートをボイスパーカッションという。(諸説あるらしいが)
とりあえず聞いてみよう
あれこれ言っても、結局聞いてみるのが一番よいので、適当に紹介。トンデモな人たちだ。
KAT TUN 中丸
多分日本で一般女性に一番有名なヒューマンビートボクサーなんじゃないのかと思う。ただのジャニーズじゃあない。うまい。1分頃から見れます。
Nakamaru beatbox - YouTube
Daichi
個人的に日本人で一番好きなビートボクサー。もちろん他にもたくさん上手い人はいるけど、一番音が綺麗だなーと素直に思える。スクラッチ音がやばい。
Daichi for Beatbox Battle Wildcard - YouTube
Naturally 7
海外は日本以上にたくさんのヒューマンビートボクサーがいるので、全然紹介しきれないけど、とにかくこれは見て欲しい。すごいから。
Naturally 7 Wall of Sound - YouTube
何も無いところから生まれる芸術
といった感じで、とってもすごいヒューマンビートボックスなのですが、その発祥が面白い。
ヒップホップ文化の黎明期からまもなくして生まれた技術である。ドラムマシンやターンテーブルを買えない貧困層の人達が、ドラムセットの口真似でリズムを再現し、それに合わせてラップをしたのが始まりと言われている。
「ドラムが買えないから、じゃあ口でやろう」ってなった、その発想がすごい。何も無いけど口はあるからと言ってやってみた結果、ギター音やシンセサイザーまで再現できるレベルになっている。テクノ然り、いろいろ試してみた結果、ここまで進化したのだ。素直にすごい。
「何も無いから出来ません」ではなく「何も無いなら無いで、有るものを使ってやってみよう」という精神が、ヒューマンビートボックスの原点であり、基本のような気がする。ギター音なんて出せるわけないだろと思うが、そこを「どうやったら出せるだろう」と試してみて、その結果出せるようになる。刻むビートは、努力の歴史だ。
なのでヒューマンビートボックスに馴染みのなかった方は、驚きとともに彼らの努力も垣間見てもらえるとより面白いかもしれない。上に紹介した以外に、たくさんのヒューマンビートボックスがあるので、是非御覧くださいませ。