リテラシーラボラトリ

リテラシーを考える

超挑戦的タイトルの本に学ぶ「不器用な人向けコミュニケーション術」

 最近コミュニケーションがあまりうまくできてないなー、とふと感じることありませんか?スムーズに進んでいない。なんでだろうなーとぼんやり考えていたところ、以下のタイトルの本に出会ってしまいました。


「特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ」


なかなか挑戦的なタイトルに、正直「うげっ」と拒否反応を覚えたし、「むかっ」ともしました。けれど、手にとってパラパラと読んでみると、随所随所で自分のやってしまっていたことをズバリ指摘されていたのです。そこで黙って購入することにしてみました。

特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ

特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ

  • 作者: 五百田達成,堀田秀吾
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2012/06/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 2人 クリック: 145回
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 以下が読んでみて得た気づき。コミュニケーションに不器用な人ほど読むといいんじゃないかなーと思います。サラッと読める量ってのもオススメのポイント。

目次

  • 個性はあとからついてくるもの
  • エンターテイメントで鍛える心
  • 抜けてるくらいがとっつきやすい
  • まとめ

個性はあとからついてくるもの

 本書では人をスラムダンクのキャラクターをもとに4タイプに分けています。

  • ①「桜木」タイプ(熱い個人主義)
  • ②「流川」タイプ(冷静な個人主義)
  • ③「赤木」タイプ(熱いチーム主義)
  • ④「木暮」タイプ(冷静なチーム主義)

 タイプの詳細は本を読んでいただくとして、このように提示されたら「自分はどれだろう」と考えるのが普通です。しかし本書では「どこでもいい」むしろ「どこにも入ってはいけない」と驚くべきことが書いています。


 個性重視の日本社会では「自分らしく生きたい」「注目を集めたい」と自意識過剰になってしまう人が多くいます。そういう人を本書では「中二病」と定義していて、ここで改めてギクリ。例のライトノベルのように変な行動はしてはいないけど、そういう心理は持ってるなと。「人にどう見られてるか」が気になって仕方ない。そうすると「自分しか見えない人」になり、コミュニケーションが上手くいきませんよと忠告、そして以下の解決法をあげてくれています。

 大事なのは、日常を振り返ってみて「自分はいつもどの辺にいることが多いのか」を客観視してみることです。
「もうちょっと心を温めた方がいいなぁ」とか、「もうちょっと人に協力しなきゃなぁ」とか、そんなふうにして日々の行動を微調整しながら「自分ってこういう人」という制限をかけないようにしましょう。(本書P.50)


 自分で自分に制限をかけずに時と場合に合わせて自分を変える。より生きやすいように振る舞いを変えることが大事ということ。今までそんな八方美人的生き方は格好悪いとずーっと思っていました。けれどそれは変化への拒否反応であり、かっこいいどころか、成長しない。停滞なのだと気づいた瞬間でした。

 臨機応変なことは、「自分がない」ことではないのです。(本書P.50)

 そうすることで今まで見なかった自分の側面、新たな価値観を発見できる。すると今までやってこなかった自分の行動も、意外と簡単に変えられるのです。

エンターテイメントで鍛える心

読書療法では実用書ではなく小説や伝記が主に使われるのですが、フィクションやエンターテイメント作品は心に油を差します。(本書P.34)

 フィクションやエンターテイメントを大いに鑑賞せよ、と言われて、いきなりギクリ。思えば最近は小説も映画もご無沙汰していたなと。僕はテレビはニュース以外には見ません。本を読むとしたら実用本。ネットでは、はてブの人気エントリーのライフハック系が基本です。そんな生活を続けてました。(アニメはちょいちょい見てますが)


 もちろん実用本が悪いという話ではなく、エンターテイメント系にも積極的に触れろよということ。思えば、自分の周りのコミュニケーション・マスターたちは小説や映画、音楽や漫画と幅広いジャンルに手を伸ばしていました。それもあり、彼らの話は非常に幅があります。そしてとても具体的に話を進めていました。「●●が△△した」ではなく、「2009年に出た◯◯の書いた△△の第●巻に出ている■■のキャラクターが言う『□□!』っていうセリフは最高にたまらないよね」といった具合に。


 エンターテイメント系に触れることにより、感受性が豊かになります。さまざまな面白いものを面白いと感じる。そして自分が読んだ本や映画を熱く語る。面白いものを面白いと語れる人こそ、面白い話ができるのでしょう。


 さらに副次的な効果として小説や映画から学べることも多いです。それは語彙や言い回しなどを知ることが出来ること。ビジネス本にはない、より五感を訴える、思わず情景が思い描かれるような言葉たち。それらを思い切り吸収できる。自分が話をする時にその言葉を使ってみることで話の質がぐんと上がるのです。


 そのことに気づき、コミュニケーションがめちゃめちゃうまい人ってのは才能というより、いかにエンターテイメントに触れているか、ある意味努力の結晶なのだと知りました。「電車ではもっぱらスマートフォン」「暇つぶしは2ちゃんねるのまとめサイト」と書いてあるのを見て、ギクリとしてしまった自分。そういうことで早速この本と一緒に小説に手を伸ばし、購入したわけでした。。


抜けてるくらいがとっつきやすい

 僕はプライドが高い。しかも完璧主義。そのおかげで仕事でもプライベートでもよく壁にぶつかっています。「何でも俺一人でやったるでー」と。それゆえ質問できず、後で苦しむパターンが多いのですが。。本書ではこれを「よく言えば『向上心』、悪く言えば『自己顕示欲』が強くなりがち」と書いていて、またまたまたギクリ。そんな若造に対して

 精神的に成熟した人、たとえば大きな会社で役員を務めるような人の多くは「えっ、何それ教えて下さいよ」と、相手が年下だろうが何だろうが関係なく言える腰の低さがあります。(本書P.162)


自分のように、やたらプライド高いと質問ができない。恥ずかしい気持ちが先行して「(分からないけど)なるほどねー」「(納得いってないけど)そうですねー」となってしまう。腰の低さがない。だから相手からうまく答えだったり、意見を引き出すことができません。


 そういう意味でプライドがなく、抜けてる人ほど経営者向きという話で、あげられる例が「島耕作」。本書は基本引用が漫画で、ちょっとどうなのよ?と思いつつも、毎回的確なので面白い。彼はシリーズを通して課長から、ついに社長にまでなっています。

そんな彼ですが、実は仕事がズバ抜けてできるわけではありません。ピンチに陥っては、毎回付き合っている彼女に助けられているヒモ的ヒーロー(笑)思わず笑ってしまうが、けどそんな人達の方が成功しているし、何より人が集まる魅力的なキャラクターなのだ。それは現実も同じ。


 自分の弱点をあえて開示する。相手に自分のお腹をみせることで、相手との距離が縮まる。いいところばかりを見せようとすればするほど、人は離れてしまいがち。自分の弱点やマイナス面を上手に開示することが、相手に近づく一歩であり、コミュニケーションの始まりなのかもしれません。

まとめ

とまあサラッと読めた割には、いろいろな気づきがありました。自分ってこういうことあったけど、この考えが原因だったのかーという点は、以上であげられている以外にもありました。それは人それぞれだと思うので、実際に読んでいただきたいのですが、最後に大事なことを本書では教えてくれています。


それは、結局「コミュニケーションとは武道」なんだと。


 才能なんてありません。慣れ、でしかないのです。私はそれが分かっただけで大分気持ちがすっきりしました。あれこれ悩んでる場合じゃないんです。やるっきゃないわけです。生きている以上、人との関わりは避けられないわけですから、ドカンとぶつかって、失敗しながら自分をつくっていく。それに近道はないのです。この本を読んだって、コミュニケーション・マスターにいきなりなれるわけはありません。ひたすら実践です。


 ということで「自分」の殻を破り、失敗恐れずコミュニケーションしてみようと思います。


コミュニケーションに不器用な誰か、話をしよう。

特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ

特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ

  • 作者: 五百田達成,堀田秀吾
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